また、麻子さんより韓国滞在のレポートをいただいたのでご紹介します。
******************
2006年より約3年間、BankART Pubにて「Asako’s Bar」を営業してきたフードコーディネーター•野菜ソムリエの佐々木麻子です。昨年9月にイギリス•ロンドンから帰国し、11月14日より46日間、「Seoul Artspace Geumchon」に交換レジデンスアーティストとして滞在してきました。
「Seoul Artspace Geumchon」はソウルアートファウンデーション傘下のアートスペースで、海外からレジデンスアーティストを積極的に受け入れています。私が滞在していた際には、スペイン人2名、インドネシア人2名、日本人1名(私を除く)が海外から派遣されてきていました。また昨年夏には同施設からの派遣でSun ChoiさんがBankARTに2ヶ月滞在しました。その交換アーティストとして、私が滞在していたというわけです。
滞在中はソウル市内外の食品市場を巡り、食材についての知識を深めたり、庶民的な家庭料理のレストランを食べ歩いて、味を確かめるなどのほか、各展覧会のOpening Partyの料理プランニング•レシピ作成•調理、現地の主婦やフードコーディネーターとのCooking Exchange、滞在アーティストを対象とした日本食のWorkshopなどを行いました。
キムチ作りが趣味だという清州市の主婦 Damiana Yooさんのお宅に、高速バスで90分かけて伺い、キムチ作りのほか、ミーパンチャン(常備菜)などの家庭料理を習いました。現在、Yooさんは韓国人コミュニティ内でキムチビジネスを始めるため、カンボジアに滞在しています。
写真は韓国人フードコーディネーターのJina Yooさん。淑明女子大学校に勤務し、KBSドラマの劇中で俳優さん達が食べる韓国家庭料理を作るのが彼女の仕事。仕事が終わってから、何度か「Seoul Artspace Geumchon」にお越し頂き、韓国料理の特長や調理のポイントなどを熱心に教えて下さいました。カナダに滞在されていた経験を生かして、海外のホテルで行われる韓国料理フェアで調理指導などもされています。
展覧会「局外者」Opening Partyの調理風景。50名分の料理を任されたため、最後の盛りつけ等は海外のレジデンスアーティストの皆さんにもお手伝い頂きました。
展覧会「局外者」Opening Partyの模様。韓国、日本、オーストラリア、スペイン、インドネシアのアーティストが参加していたため、5カ国を代表する料理を作りました。
滞在アーティストを集めて、初めての日本食Workshop。実は不注意で親指を切ってしまい、痛々しい感じですが、皆さんにお手伝い頂き、友情が深まった1日でもありました。
2回目のWorkshopは寿司作り教室。握りの返し方が少し難しかったようですが、なかなか上手に作れました。韓国でも寿司は大人気なので、皆さん楽しんで頂けたようです。
牡蛎の軍艦巻き、パプリカの寿司も作りました。いつも食卓に並ぶのはキムチ。この日は韓国人アーティストがカクテキを提供してくれました。「Seoul Artspace Geumchon」には大きな冷蔵庫が3台あるのですが、中身はほとんどキムチでいっぱいです。
韓国でも結婚しない若者が増えており、キムチの作り方もわからなくなっているのが問題になっているとのことで、友人のアーティストがキムチ作りのWorkshopに誘ってくれました。味噌や漬け物の味が各家庭で異なるようにYooさんのキムチとは材料が異なるなど、興味深い点も多くありました。
滞在最終日、BankARTに滞在していたSun Choiさんの展覧会のOpening Partyの料理も担当しました。韓国と日本のフュージョン料理をコンセプトに、ナムル寿司、チムタクうどん、ホワイトシチュートック、サゴルタン(牛骨スープ)のラーメン、ドングリの粉入りフィナンシェなど、個性的な料理を作りましたが、概ね好評でした。上記の写真以外にも釜山、全州など郊外に視察に行くなど、日々惜しむかのように過ごしていたら、あっという間に46日が過ぎてしまいました。
韓国の滞在は10年ぶりでしたが、昔に比べて、近代化された場所、今も変わらず残されている手仕事など、韓国の文化に対する理解をさらに深めるきっかけとなりました。これからも「続・朝鮮通信使」の活動には積極的に参加して行きたいと思います。ありがとうございました。