2022年02月04日

BankART出版紹介 vol.19 日本縦断-ミーティングキャラバン

誰かに本著を勧めるとしたら、私はこう言うだろう。

「もし日本全国に点在するオルタナティブスペースで何が起きているか知りたい方はこの本をどうぞ。」と。本著は三部構成になっている。第一部は武藤勇氏をはじめとするアーティストグループ「N-mark」のメンバーが行なった「ミーティングキャラバン」の記録集。そして、第二部はカフェライン、第三部はN-markのメンバーが名古屋でスペースを運営していた4年間の活動記録が掲載されている。

さて、「ミーティングキャラバン」について。これは、N-markがオープンミーティング(誰でもどこでもアートの話ができる仕組み)と称し、日本全国を縦断しながら各地でミーティングを開催した。第一部にはその旅で出会った”場所”、”人”、”こと”が記録されている。北は北海道から南は沖縄まで全国各地で開催されたミーティングだが、どの場所もアンダーグラウンドで活動し、小さい拠点ならではの密度の濃い会話が行われていると本からでも伝わってくる。

普段なかなか全国各地で活動するオルタナティブスペースの存在を網羅的に把握することは難しいが、本著ではそんなスペースで活動する人たちの本音を垣間見ることができるだろう。

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ミーティングキャラバン-日本縦断、アートミーティングの旅 (2005年10月発行)

A5判変形 160ページ
1,714円+税ご購入希望の方は、ホームページをご覧ください。
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BankART出版紹介 vol.18 「Bゼミ–新しい表現の歴史−」

「Bゼミは美術大学というものからは育たない現代の芸術家たちを育てる役割を持っていました。」(引用P83「多木浩二」)

Bゼミは、当時の大学教育のアンチテーゼとして、小林昭夫氏のもと1967年に横浜で始まった日本初の現代美術の学習システムである。2004年に幕を閉じるまで数多くのアーティストを輩出してきた。本著は、小林昭夫氏の息子・小林晴夫氏が編集し、当時の美術大学の枠にとらわれない実験的で先駆的な現代美術教育の現場の歴史を知ることができる貴重な一冊である。

著書は、Bゼミに縁のある作家のインタビュー、Bゼミ歴史、そしてコラムの三部構成だ。インタビューやコラムには、斎藤義重氏や高松二郎氏、多木浩二氏など日本の戦後美術を牽引してきた作家や評論家たち総勢50名以上が文章を寄せている。Bゼミ歴史の章では、小林昭夫氏の生い立ちからBゼミができた背景、展覧会や演習ゼミの様子などが掲載されている。例えば、原口典之氏はゼミ「コンクリートを使って共同制作」を開講したり、田中信太郎氏はゼミ「線状の材料を使って何かをつくる」などを開催していた。また、時には電車の中や、Bゼミの教室の屋根の上でもゼミが行われていたそうだ。当時の美術大学にはなかった現代アートを学べる実践的なゼミが行われていたことが記録から分かる。

芸術の道を志す者ならぜひ読んでもらいたい一冊である。

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Bゼミ -新しい表現の学習の歴史 (2005年10月発行)
B5判変形 256ページ
2,286円+税
ご購入希望の方は、ホームページをご覧ください。
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2022年01月10日

BankART出版紹介 vol.17 村田 真《絵画芸術》

美術ジャーナリストでありBankARTスクール校長の村田 真が30年来の絵画に挑戦する。美大生時代に一度は諦めた絵筆を再度取り直し芸術のオリジナリティーへ問いかける作品を紡ぎ出す。

本図録に収録されている《豆腐絵画》では日本の西洋絵画の第一人者である高橋由一の《豆腐》を彼なりに解釈した斬新な作品が載っている。本作は高橋氏の《豆腐》に描かれた事象を描きなおすに当たって豆腐の形状やキャンバスの質感に注目した。その結果豆腐1丁、焼き豆腐2丁、油揚げ2枚が一見オブジェのように並べられていながら絵画の必要条件であるキャンバスの上に描くという事柄は満たしているというなんともキテレツなものが誕生した。

高橋氏が当時《鮭》やら《豆腐》やら絵画のテーマにわざわざするひつようのないものを描いたのは、西洋の進んだ技術である油絵がいかに素晴らしく写実的であるかを、誰の家にもある身近な物で表現するためであった。村田氏の《豆腐絵画》は高橋氏が追及したリアリティーをより顕著にしたもの、ある意味高橋氏が成し遂げたかった最終形態を形にできたのではないかと思う。

このような「絵画」「美術」「芸術」の固定観念を見つめ直し、新たな価値基準を与えてくれる作品が収録されている。皆さんも本書を手に取って本当の絵画を探す旅に出てみてはいかがだろうか。

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村田 真《絵画芸術》(2011年8月発行 )
A5判 20ページ
¥300円
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2022年01月08日

BankART出版紹介 vol.16 渡辺 篤 『アイムヒア』

本書は2020年2月11日に刊行された現代美術家渡辺篤の作品記録集である。
氏はひきこもり当事者としてのベースを持ち、社会的弱者の声を当事者の側から掘り起こし、鑑賞者を自己批判的に逆照射する作風で知られる。

本書の構成は渡辺篤のプロジェクトの概要と成果を、章ごとに分けて構成している。また、章の途中には美術評論家福住廉による渡辺篤の作家性と作品性をソーシャリー・エンゲージド・アートの観点から論じている。
渡辺篤の作品には、多くの社会的弱者としてのバックグラウンドを持つ当事者たちが、プロセスに参加しているため、本書を読むときに、読者である自分もまた、誰かを攻撃していたり、攻撃されたりしている当事者性が惹起される。

この本そのものの表装がひび割れたデザインになっているのは、その作家性を代表する「ひび割れ」ではなく、読後感を暗にほのめかしているのかもしれない。

金継ぎによって、一度壊れていたものが再生する過程のように、現代社会に生ける私たちの荒んだ心を癒している。そう思いもした。
福住廉は本書で渡辺篤の作品についてこう書いている。
「テーマとメディウムが見事に調和している」と。

ひきこもりという社会的課題が、物体を持って我々に問いかけるような氏の作風は確かに、アート的であり、社会的でもある。

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「アイムヒア」渡辺 篤(2020年2月発行)
B5判 80ページ
¥1,000+税
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2022年01月07日

BankART出版紹介 vol.15 朝倉 摂『アバンギャルド少女』

本書は2010年にBankART Studio NYKで行われた朝倉摂氏の大規模な個展に際して出版されたもので、朝倉氏による絵本原画や挿絵、舞台のイメージ・コンセプトドローイングのほか、福原義春氏との対談の内容も収められている読みごたえのある一冊だ。

朝倉氏は本書が出版された当時、88歳を超えても現役で国内外を駆け巡り、舞台美術家として活躍してきた方だ。舞台美術家として関わるジャンルも現代劇、歌舞伎、商業演劇、オペラ、ミュージカル、バレエ、日本舞踊、コンサートと実に幅広く、また日本画出身というだけあって、本書に収められているドローイングや挿絵など平面上での表現力の高さにも驚かされる。

様々な舞台写真が収められている中で特に印象的だったのが、2007年の『動物園物語』の舞台装置である。柔らかい光が差し込む樹々の下でベンチに座り本を読む男性。目を凝らしてみると、木の幹には縦に線の入った梱包用のダンボール資材が、そして葉の部分には網状に切れ目の入った梱包用紙が用いられているようだ。ランダムに光が漏れる様、そして風にそよいでいるような軽やかな気配は、まるでふと公園に迷い込んだかのような自然な印象を受ける。

絵画という二次元の表現に飽き足らず、三次元、四次元の拡がりをもつ舞台芸術の世界へと羽を広げていった朝倉氏。ノンフィクション作家の吉岡忍氏による語りの中で、「変わっていく感じ方のなかで、いま作っている舞台をもう一度見直してみるっていうことはしょっちゅうあります。だから、一回作ったものを壊すことは、私にとっては当たり前なんですよ。」という朝倉氏の言葉には、生きる姿勢そのものが現れているようだ。

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朝倉 摂「アバンギャルド少女」(2010年9月発行)
A4変型判 224ページ
¥2,000円+税
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2022年01月06日

BankART出版紹介 vol.14『幸田千依 Chie KODA』

これまでに数多くの個展やプロジェクトを行ってきた、日本の画家、幸田千依。BankART UNDER35に際して、2013年に発行されたこのカタログには、幸田が2010年から2013年までに柏、別府、台北など様々な場所で作り上げた、どれも水・プール・人の群れをテーマにした作品が数多く掲載されている。

本カタログには幸田の作品掲載の他にも、複数見所がある。
まず一つ目に、カタログ前半部分の、幸田による製作の際を振り返ったテキストである。作品が生まれるまでの時間をどう過ごし、どのような過程で最終的にその形の作品が出来上がったのかが記載されているこのページは、作品を楽しむ上で必要不可欠な要素をふんだんに含んでいる。

二つ目は、芹沢高志と幸田千依による対談、『「見る」ことと「描く」こと』である。幸田の作品の大きなテーマである、水、プール、それから人間社会。幸田がどのようにしてそれらのテーマに出会い、絵に描くまでに至ったのかが事細かく言葉にされている。ただ一つの作品やその説明書きをみるだけではわからない、幸田の全ての作品に込められた想いが込められたこの対話は、幸田のこれまでの作品、そしてこれから生み出されるであろう作品を楽しむ上で、とても重要になるだろう。

幸田千依の作品に込められた想い、それから幸田らアーティストの手からどのようにして作品が生まれるのかに興味がある方には、ぜひ手に取ってほしい一冊である。

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幸田千依 Chie KODA(2013年3月発行)
A4判 20ページ
¥200円(税込)
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2022年01月05日

BankART出版紹介 vol.13『井原宏蕗 Koro IHARA』

BankART Under 35 2021 に際して同年4月に発行された井原宏蕗のカタログは、作品を創る者や常日頃から芸術作品に触れている人以外の人にも、ぜひ一度手に取って欲しい一冊である。

当カタログは、角川武蔵野ミュージアムキュレーター、高橋洋介による「人新世と崇高のスカトロジー:井原宏蕗にみる芸術的な排泄物の系譜」から始まる。日英両文で記載されているこの文章は、ぜひ、本を開き作品を見始める前に、一度目を通し、じっくりと読み考えて欲しい内容となっている。糞・尿を多く用い創られる井原の作品に関することだけでなく、現代の作品や、我々が生きる地球、かつてこの場で生活していた人々についてまで書き記されているこの二ページは、もとより我々の心の内にあった先入観を一度クリアな状態に戻してくれる。

さて、その次のページからは、一見は綺麗に見える糞尿の作品の細部までがありありと映されている写真が広がっている。それぞれには、作品と、井原という一人の芸術家自身を理解する上で最も重要となる、作品の生まれたわけ、生成時に込められた思い、それから作品の原材料などの詳細が記載されている。作品をより楽しむため、ぜひそれらをじっくりと読んだ上で思考を巡らせて欲しい。

一度全ての作品をじっくりと眺めた最後には、ぜひ最初の二ページに再度目を通して欲しい。初めに感じたのとは違う新しい、きっとこの先芸術作品と向き合っていく上で非常に重要となる思いが生まれるだろう。

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井原宏蕗 Koro IHARA(2021年4月発行)
A4判 20ページ
¥200円(税込)
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2022年01月04日

BankART出版紹介 vol.12 宮本隆司『首くくり栲象』

艶やかな漆黒の表紙に惹かれて思わず手に取った一冊。
そこには『首くくり栲象(たくぞう)』と鮮やかな赤い文字でタイトルが刻まれている。

本書は、20年以上にわたって自宅の庭である『庭劇場』で首を吊るパフォーマンスを行い、2018年に逝去した首くくり栲象を追った写真家 宮本隆司氏による写真集だ。冒頭の宮本氏の文章からはじまり、首くくりが行われる『庭劇場』へ誘われるように進んでいく写真、首をくくる栲象氏の写真のあとには、家屋で過ごす日常を捉えた写真も収められている。
そしてそれらの栲象氏の姿にはどれも、彫刻作品のように静寂の中に存在する生の美しさがある。

新鮮な驚きだったのは、首をくくるという同じ行為においても、栲象氏はその時ごとに違う表情を見せているということだ。
人間としては当たり前のことなのだろうが、栲象氏がどれだけ生身の精神で首くくりに向かっているのかが伝わってくる。

宮本氏によると、『首くくり栲象は自分の行為にまつわる神秘的な想いを嫌っていた。「毎日、庭で首をくくっています」とごく普通のことをやっているように言っていた』そうだ。また、宮本氏は家が近かったこともあり、約十年間栲象氏の姿を写真に収めてきたという。近い距離での関わりであったからか、写真集には首くくり以外の人間味のある栲象氏の姿も映し出されている。その中でも大量の書物の壁によりかかり、うたた寝をする栲象氏の写真があるのだが、なんともその『うたた寝の姿』の方が『首くくり』よりもまるで死に近いような様子である。そうして首くくりの写真に戻って見てみると、その姿はどれほど生きている姿なのだろうと思うのだった。

最後には演劇評論家である長井和博氏による克明に描かれた首くくりの文章と栲象氏の略歴も見ることができる。
この本を通して残された『首くくり栲象』という一人の人間の生きた痕跡を、私たちはどのように受け止められるだろうか。

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宮本隆司:首くくり栲象(2018年12月発行)
B5版 108ページ ハードカバー
¥2,200+税
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2022年01月03日

BankART出版紹介 vol.11 『田中信太郎 Shintaro TANAKA 1946-2014』

『時代をすーっと走り続けた田中信太郎の、大らかなそして繊細な地殻変動を感じとっていただければ幸いです。』

本誌はBankART NYKにて2014年に開催された「田中信太郎 岡崎乾次郎 中原浩大〜かたちの発語展」に伴い刊行された田中氏の個人カタログ。
冒頭の言葉の通り、本カタログでは1959年から2014年までの田中信太郎氏の作品の変遷を、残された膨大な写真とともに振り返ることができる。それだけでなく、田中信太郎氏と美術評論家・光田ゆり氏との対談も掲載されており、同作家の生い立ちや生き方、哲学など総合的に田中信太郎という人物に触れることが出来るだろう。

カタログには、なかなか見ることが出来ないネオダダ・オルガナイザー時代の若き日の写真や代表作《ハート・モービル》、1970年「人間と物質」展で出展した作品《無題》、ヴェネチア・ビエンナーレでの展覧会の様子、そして1985年、病を経験した後で制作された《風景は垂直にやってくる》など。他にも国内外問わず様々な場所で制作されたコミッションワークの数々がある。

物質をぎりぎりまで追い込んで削ぎ落とされたミニマルな表現形式の作品達は、たしかに同時代に活躍した「もの派」の作品を彷彿させるが、田中氏はそうカテゴライズされることを拒否する。そして、月日が経ちその後制作された作品《無題》や《風景は垂直にやってくる》などを辿ると、人生や時代の変化に合わせて作品を柔軟に変化させ、挑戦し続けている姿を感じ取ることが出来るだろう。しかし、そうした変化の中にも一貫した何かがあると思わずにはいられない。

田中氏は光田氏との対談の中で「終始一貫性」に関して以下のように言及している。
「..僕は一貫性というのは、その作家が若いときから死ぬまでの長い時間の中で、(省略)時代の変化もあるし、自分自身の変化もあって、いろんなことをトライすると思うのですね。そのトライした結果の匂いといいますか、(省略)、この人では無ければというものが、そこの部分が一貫性の一番重要なところで、表面的な変化ではないという言い逃れをしています。」

変化を自然なものとして迎え入れ、挑戦を積み重ね醸し出される唯一無二な”匂い”とは。私はそれを感じ取りにもう一度田中信太郎氏の作品を見たいと思った。

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田中信太郎 Shintaro TANAKA 1946-2014(2014年4月発行)
A4判 192ページ
¥2,000+税
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2022年01月02日

BankART出版紹介 vol.10 『いかに戦争は描かれたか』

本書は、2015年1月から3月にかけて行われたBankARTスクールの計8回の講座「戦争と美術」をまとめ、2017年にBankART1912によって出版されたものである。全222頁のうち大部分が講義を文字に起こしたもので、講座の記録資料としての役割を持つ。

全体としては、4人の講師がそれぞれの専門分野を通して、戦争と美術の関係性を見つめ直す内容となっている。
1人目の講師である東京国立近代美術館美術課長の大谷省吾氏は、“戦争画”の定義から講義を始める。戦争が直接的に描かれていない戦争画や、GHQが戦争画を“美術”か“プロパガンダ”か “戦利品”か、扱いに困っていた話などが紹介される。それらを起点に、戦争画の位置付けを、社会全体の動き、そして画家としての藤田の評価の変遷と比較しながら探っていく。

2人目の講師である大原美術館特別研究員、京都造形芸術大学教員の林洋子氏は、藤田嗣治研究のスペシャリストである。二つの世界大戦と日中戦争を経験した藤田は、各々の戦争に対して異なる態度を示す。彼の内面の変化とそれが彼の“戦争を描く作品”にどう影響したかが明らかにされる。

3人目の講師の河田明久氏は、千葉工業大学教授で戦争美術を専門とする。河田氏の授業は、日本で戦争が多かった明治期と昭和期に分かれる。前者では戦争を国民に伝えた浮世絵の役割、後者では日中戦争と太平洋戦争の描かれ方の違いにスポットを当て、戦時下で画家とその作品に要求される“役割”を探る。

4人目の講師の木下直之氏は、東京大学教授で、静岡県立美術館館長である。前編の講義では、戦争に関する“モニュメント”の変遷を時代に沿って辿る。言葉や人物を刻んだ彫像から、凱旋門、原爆ドームまで幅広く戦争の記念碑を扱う。後編では、戦争を伝える“スペクタクル”という観点で神田際の行列、大名行列から軍隊の行列、パノラマ館や映画へと講義が繋がっていく。

本書は、戦争画をその時代に照らし合わせて、当時の人々にとって戦争とは何だったかを浮き彫りにする。戦争とは何か、その中に存在する美術とは何かを再考させられる一冊である。

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いかに戦争は描かれたか(2017年4月発行)
A5判 224ページ
¥1,200+税
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2022年01月01日

BankART出版紹介 vol.9 村田 真『Artscape 1999→2009アートのみかた』

本著はWebマガジン「artscape」に1999年から2009年まで掲載された村田真氏の展覧会レビューを一冊にまとめたものであり、村田氏の世紀をまたぐ日々の足跡や展覧会への率直な所感が伺える内容となっている。展覧会の規模やジャンルも多様で幅広く、記録として、また読者が村田氏と同様にアートウォッチングをする毎日であれば、この展覧会は確かにそうだったなど自身の感想と比べる楽しみ方もあると思われる。

ただ、相当な数のレビューではあるが、辞典ではなくあくまで著者の自由な観点でセレクトされているため、その年代の展覧会を網羅するといった完全性を担保するものではない。そのため索引や年表などはないのだが、それはそれとして掲載されている展覧会を場所、時期、分野で俯瞰、一望出来る様にまとめられた一覧表を見てみたいとも思う。

著者がいつ何に興味関心を抱いてどこへ向かったのか、そこは展覧会がどういった内容だったかといった記録集であれば特に取り立てる事もないかもしれない。が、これだけ長い年月をほぼ毎日、ライフワークとして鑑賞し続けるその軌跡がどういったものだったのかも気になるのだ。

一人が鑑賞する展覧会だけでもこれだけの量がある、そこから更に年間どれだけの展覧会が開催され、ギャラリーではどれだけの展示が開催され、アートイベントはどれだけ開催されているのか、国内だけではなく海外ではどうかと関心を拡げていくきっかけとなる様な著作である。

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アートのみかた(2010年5月発行)
A5判 512ページ
¥2,500+税
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2021年12月14日

BankART出版紹介 vol.8 リターンから撤収までの記録『新・港区』

「新・港区」は、横浜・新港ピアに拠点を構え、2012年から2年間の期間限定で50組を超えるクリエイター達のシェアスタジオであった。本著では、そこに住んでいたクリエイター達による2年間の活動が記録されている。さらに、同プロジェクトを推進・応援してきた関係者の寄稿文やシンポジウム「クリエイターがまちに住むこと シェアスタジオの可能性」などが掲載されており、「新・港区」という一つのプロジェクト記録だけでなく、都市にアーティストやクリエイターを誘致することで社会に与える影響について重層的に学ぶことができる一冊である。

さて、本著の編入作業はユニークな方法である。具体的には、住民会議という自治から選出された編集委員と管理運営者側が協働して、可能な限り住民が参画する形で進められている。例えば、住居人の紹介は自己紹介だけでなく、他の住居人による他己紹介も掲載されている。そのためか、住民同士の関係性やシェアスタジオの空気感が本からでも伝わってくる。また掲載されている寄稿文からは、アーティストやクリエイターの可能性を信じ、前例のないことに挑戦しながら、都市の中で文化芸術を育んできた人々の同プロジェクトに対する想いがひしひしと伝わってくる。

地域を活性化するためアーティストやクリエイターを誘致する動きが盛んな昨今。その効果には賛否両論あるが、ぜひ本著を手に取って考えてほしい。

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新・港区(2014年3月発行)
B5判 224ページ
¥1,800+税
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2021年12月13日

BankART出版紹介 vol.7 小さな未来都市『新・港村』

『新・港村はあらゆる国と種類のクリエイターが働く蜃気楼のような小さな未来都市です。』

「新・港村」の挨拶はここから始まる。

横浜トリエンナーレ2011の特別プログラムとして、8月6日から11月6日の期間限定で、横浜・新港ピアにて突如として出来上がった小さな未来都市「新・港村」。そこに住む住人(村民)は国内外の約150のアートイニシアティブチーム達。はたしてその村で何が起きていたのか。本著はその記録を辿る記録集である。

ページをめくると、4400平方mの巨大な建物の中で、住人であるアーティスト、クリエイター、NPO、オルタナティブスペース関係者等による展覧会やパフォーマンス、制作活動、レクチャーなどの記録や、新・港村Cafe LIVEや大野一雄フェスティバル、展覧会「横浜プレビュウ」などの様子が写真やテキストからうかがえる。さらに、「新・港村」の空間や意義に関して、BankART代表池田修氏とみかんぐみ・曽我部昌史氏による対談や池田氏による寄稿文などが掲載されており、ミクロな視点だけでなくマクロな視点からも同プロジェクトを考察することができる。

あらゆる国と種類のクリエイター達が横浜に集まった全80日間。本からでも伝わってくるクリエイター達による熱気をぜひ感じていただきたい。

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新・港村 小さな未来都市(2012年5月発行)
B5判 272ページ
2,400円+税
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2021年12月10日

BankART出版紹介 vol.6 『美食同源』

横浜・馬車道にあったBankART19292棟を始め、関内外広域で展開された「食と現代美術」の記録集。「食と現代美術 part1」(2005年)と、続編にあたる「食と現代美術 part2」(2006年)の内容を紹介。合間には読み応えあるコラムもあり、全160頁にわたる充実したフルコースのような図録である。

地図を眺めて店名を確認すると、聞き覚えのある名前が多いが現存しているのはどれ位だろうか。「横濱芸術のれん街」と称した周辺の飲食店を舞台にした企画では、食をテーマに制作された作品が、1作家1店舗の組み合わせで展示された。食器として供されるもの、什器に擬態したもの、作家本人がふん装して出迎えるパフォーマンス。設置というよりも潜入という感覚が近い。

「横浜 食の展開」の章では、横浜の郷土酒とも言えるビールや、横浜での都市農業について、歴史や展開が解説されている。また老舗店や新参店のオーナー達へのインタビューも収録されている。開店当初のエピソードや店名の由来など、歴史を感じる逸話もあり興味深い。

15年も前の出版であるにも関わらず、まるでこれから開催されるイベントを心待ちにするかのように、記された作品それぞれへの興味が尽きることはない。本書を片手に想像力をかきたてながら、かつての横浜に想いを馳せ、新鮮な視点で街を歩くこともできるのではないだろうか。


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『美食同源』[現在、在庫なし]

監修:井上明彦、編集:BankART1929

A5判 160ページ
2006年2月発行


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2021年12月06日

BankART出版紹介 vol.5 『100人先生〜横浜の東アジア』100人の市民先生による100の講座

学校の黒板と思わしき背景。何やらおじさんが学ランを着て両手を広げている姿。そして、100人先生というタイトル。表紙からコミカルな雰囲気がただよっているその本を手に取ってみると、それは総勢100人の市民たちが先生となり開講された様々な講義の記録集となっていた。

本著「100人先生〜横浜の東アジア」は、作家の開発好明氏が企画したものであり(表紙のおじさんが開発好明氏)、BankART LifeY「東アジアの夢」のプログラムの一つとして開催。201581日から113日の95日間 BankART NYKにて、タイトルにある通り100人の市民が先生となり100の講座が開催された。期間中は、市民先生が日頃あたためていた「実は得意なもの」や「みんなが知らないこと」を中心に授業が行われた。

100人の市民先生による講義をすこし覗いてみることにしよう。開発好明氏による「応援先生」を皮切りに、「空気よめない先生」「古代火起こし先生」「美術とエロ先生」「震災避難者先生」「ふんどし先生」..ユニークなタイトルに好奇心をそそられるが、それに負けじ劣らず個性的な先生たち。彼ら・彼女ら自身がそれをこよなく愛していることが本からでも伝わってくる。どれも魅力的な講座だが、個人的には「段ボール先生」「セルフビルド先生」「不法占拠先生」あたりを受講したい。ホームレスにでもなるつもりなのかと思われそうだが(笑)

最後に、開発氏は「100人先生の魅力は、『誰もが先生、誰もが生徒になれる』」と述べる。人と比べて自分は劣っていると感じる競争社会の中で、短所ばかりに目を向けるのではなく、自分の好きなものや自分にしかできないことに目を向けよと、思考の転換を促しているように感じる。さて、私は何の先生になれるだろうか。

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開発好明『100人先生 −横浜の東アジア』(2015年7月発行)
A5判 96ページ
880円(税込)
購入希望の方はホームページをご覧ください。

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2021年11月04日

BankART出版紹介 vol.4 『横濱モボ・モガを探せ!』

「モボ・モガ」とは何ぞやと思った方。筆者もその一人だった。そう、モボ・モガという言葉を知らない世代なのだ。どうやらこれは「モダンボーイ」「モダンガール」の略語らしい。

プロジェクト「横濱モボ・モガを探せ!」は、1920年代から戦前まで横浜に数多くいたモダンボーイ、モダンガールを探すというものであり、前回ご紹介した展覧会「横濱写真館」をきっかけに動き出したものである。このプロジェクトの集大成として、20063月に横浜みなとみらい線馬車道駅構内で、写真展が開催された。

さて、本書では1900年代初頭の横浜の様子(横浜港や伊勢佐木町など)や当時の流行の最先端をいくモダンボーイ・モダンガールの姿を、過去を振り返る文章とともに、辿ることができる。
昔の写真を見ながら、戦前から戦後の横浜にタイムスリップする。さすが横浜港が開港し外国との交流が盛んな場所なだけあって、人々の身なりは和服ではなく洋服だった。そして、ダンスやワルツを踊り、外車を乗り回す。

これらの写真を振り返りながらよく残っていたなと驚くと同時に、よく発掘したなと驚く。というのもの、このプロジェクトを始動するにあたって発足されたチームは、自分の足で横浜に住む人々にヒアリングをし写真を探してきたからだ。それがいかに大変だったかは容易に想像がつくだろう。
最後の方に、1929819日に横浜の関内上空を飛ぶドイツの飛行船GRAF ZEPPELIN「ツェッペリン伯号」を写した写真が載っているが、その発掘力に情熱や執念さえも感じられる。

写真が歴史を可視化し、1枚の写真を通して世代を超えて語り合う。土地の歴史と分断されてきた人々が、写真を通して過去と結びつく。数多の歴史の上に今があると感じるのではないだろうか。記憶を残すこと、次に継承することがいかに大切かを考えさせられる本であった。

「開港5都市モボ・モガを探せ!」につづく..

執筆㋖

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横濱モボ・モガを探せ!(2007年9月発行)
A5判 96ページ
1,100円(税込)
購入希望はホームページをご覧ください。

#横濱写真館 #BankART1929 #BankART出版 #横浜 #creativecity #artbook #art
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2021年10月22日

BankART出版紹介 vol.3 『横濱写真館』

2004年にBankART1929YokohamaBankART1929馬車道で開催された展覧会「横濱写真館」のカタログである。
本展は、旧銀行であった歴史的建造物の全室を使用し、第一線で活躍する写真家たちの作品が展示された。作家には、石内都氏や宮本隆司氏、小山穂太郎氏、鈴木理策氏、山崎博氏、北島敬三氏、楢橋朝子氏、佐藤時啓氏、森山大道氏など錚々たる顔ぶれが。この面々が一堂に会しただけでも迫力があるが、今回は各作家に新進気鋭の若手作家を推薦してもらい、新旧入り混じる総勢19人の参加となった。
さらに、従来のホワイトキューブではなく旧銀行という特異な空間で展示されたのだから、またとない機会だっただろう。
作家たちがどんな作品を展示していたのか気になる方はぜひ本カタログを手に取っていただきたいが、ここでは石内都氏の作品を少しだけご紹介。

横濱の本牧の接収地に建設された米軍居住施設「ベイサイド・コート」。石内氏は、この朽ちていく建物の写真と傷跡の写真を同時に展示。二項対立を表現することで、目に見えない「時間」と「空間」への意識を促した。

写真家の視線を通して、横濱や日本を改めて見てみてはどうだろうか。

執筆㋖

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横濱写真館(2004年10月発行)
A5判 127ページ
1,572円(税込)
購入希望はホームページをご覧ください。

#横濱写真館 #BankART1929 #BankART出版 #横浜 #creativecity #artbook #art
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2021年08月16日

BankART出版紹介 vol.2 川俣 正 『Expand BankART』

今回取り上げたい書籍は、2012年から2013年にかけてBankART Studio NYKで開催した川俣正展「Expand BankART」のカタログだ。BankART Studio NYKの象徴的な作品となった本展覧会の足跡を辿ることができる。

本カタログは、これまでの川俣氏の軌跡を振り返ることが出来る全作品目録、本プロジェクトに向けたスケッチや模型などが載っている「Plan for Expand BankART」、本展や関連イベントBankART schoolの様子などが記録された「Documentation of Expand BankART」の三巻構成だ。

一冊一冊見応えのあるものとなっているが、特にプロジェクトの痕跡を見ることが出来るカタログも含まれているのは、「制作プロセスそのもの」も作品であるという川俣氏の作風に合った見せ方である。

本プロジェクトの特徴的な点は、プランと作業をほぼ同時進行で行ったことである。横浜という「場」と、そこで出会った「人」と関係しながら、絶えずプランを変え生み出されていった。残念ながら現在は施設自体が解体され作品を見ることは出来なくなったが、この場で起きた変化やコミュニケーションはしっかりと本カタログに残されている。

また、現在は三冊まとめて販売されている本カタログだが、当時は三回配本される仕組みとなっており、最後の記録集は展覧会が終了した後に配送されるという前払いシステムになっていた。現在では、いくつかの美術館などでも同様なことが採り入れられているが、本カタログがその先駆けとなったのは間違いないだろう。


執筆:㋖

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川俣 正『Expand BankART』
A4変形判 3冊セット 計352ページ
¥3,000+税
購入はこちらから
http://www.bankart1929.com/bank2020/book/index.html


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2021年08月11日

BankART出版紹介 vol.1 BankART入門編「City Living BankART1929’s Activities」

「この書籍はこれまでの活動のエッセンスです。横浜に誕生したBankART1929がどのように都市に棲み続けてきたかを感じ取っていただければ幸いです。」

本書の冒頭に書かれている説明文の最後の一節である。

「棲む」という表現がBankARTらしいなと感じるが、この本はまさにBankARTの「生態」を垣間見ることが出来る。同施設を知らない人にとっては入り口となるような、知っている人は過去を振り返り懐かしく思うだろう。

本書の構成は2004年〜2015年までのBankARTの活動を13つの項目に分けて紹介している。ページをめくりながら、しみじみと「色々なことをしているな〜」とその活動の幅の広さに改めて驚く。

というのも、川俣正氏や原口典之氏など大規模展覧会をやっているのかと思えば、U35シリーズなど若手作家を支援する活動も行なっている。また、美術だけでなく大野一雄フェスティバルなどパフォーミングアーツも企画しているし、横浜トリエンーレとの連動企画「BankART Life」もある。さらに、活動は国境を飛び越え、続・朝鮮通信使シリーズとして韓国や、横浜市と台北市の交流プログラムなども活発に行なっている。

例をあげれば枚挙にいとまがなく、一つずつ紹介していくと日が暮れそうなので、ここまでにしておきたい。

もし気になる展覧会やプロジェクトがあれば、それぞれの活動をより詳しく紹介した単独の本があるので、ぜひ読んで頂きたい。

ここまでつらつらと書いてきたが、最後に私が言いたいのは「BankARTを知りたければこれを読め!」の一言に尽きる。


執筆:㋖


『City Living -BankART1929’s Activities』
B5変形判 184ページ
¥1,200+税
購入はこちらから
http://www.bankart1929.com/bank2020/book/index.html


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